Press-Fit Calculator · v1.0

圧入計算ツール

機械設計機械力学計算圧入(しまりばめ)
P

プリセット(ワンクリック設定)

Quick Setup
材料
材料
ISO はめあい ※呼び径から自動算出(簡易実装。正式図面前にJIS B 0401-1規格表で確認してください)
1

入力

Input

※軸内径=空欄で中実軸、穴外径=空欄で十分大きな母材として計算します。正面図で直径(⌀)、側面図で嵌合長(L)を表示。

寸法 / Dimensions
呼び径 d mm
公差
mm
上限(大)
mm
下限(小)
mm
締め代range
0.010 ~ 0.035
mm
軸内径 d₁ mm

中実軸の場合は 0 のまま

穴外径 d₂ mm

無限母材として計算する場合のみ空欄

材料特性 / Material
特性
材料名プリセット or 手入力
縦弾性係数E
GPa
ポアソン比ν
-
線膨張係数α
×10⁻⁵/℃
降伏応力σy ※安全率算出用
MPa
要求安全率S · σa = σy ÷ S
σa(軸) = 230 MPa  |  σa(穴) = 230 MPa
許容応力σa ※強度チェック値の判定用
MPa
密度ρ ※回転考慮時
kg/m³
使用条件 / Conditions
嵌合長 L mm
摩擦係数 μ -
運転時の部品温度 (常温20℃なら空欄)

運転中に軸・穴が到達する部品温度を入力してください。例:部品温度が140℃になる場合は「140」と入力します。常温20℃との差分は内部で自動計算します。
組立時の焼きばめ温度ではありません。焼きばめ温度は下方の「組立補助:焼きばめ / 冷やしばめ」で確認してください。
計算には常温での材料物性値(E, σy)を使用しています。高温環境下では材料強度が低下するため、実設計では温度補正済みの物性値を手入力してください。

回転条件 / Rotation
最高回転数 N rpm (非回転部位=空欄)

入力すると遠心力による締め代減少を考慮した CASE 5,6 と臨界回転数 N_crit を算出します。BRG・COVER 等の非回転部位は空欄で構いません。

2

出力

Output
締め代 mm 量産参考(RSS ±3σ仮定): mm ?
圧入部では、穴が広がる方向の「円周方向応力」と、接触面で押される「径方向応力」が同時に発生します。本ツールでは、この2つをまとめた強度チェック値で判定しています。
▶ 強度チェック値の計算式
強度チェック値 = √(σθ² − σθ × σr + σr²)

σθ:円周方向応力(穴が広がろうとする方向)
σr:径方向応力(接触面で押される圧縮応力)
p:面圧

圧入面では、径方向応力 σr = −p です。
つまり、表に表示している面圧 p を使って強度チェック値を計算しています。

この強度チェック値は、一般にはミーゼス相当応力(von Mises stress)と呼ばれます。

組立時 (常温20℃) 圧入荷重の評価
項目
最大締め代
最小締め代
単位
締め代δ₀ · 常温
mm
面圧p
MPa
圧入荷重F · 押込力
N
参考:円周方向応力σθ · 穴内径面
MPa
判定用:強度チェック値 穴側
MPa
判定用:強度チェック値 軸側軸外径面
MPa
運転時 (常温) スリップトルク・運転時応力の評価
項目
最大締め代
最小締め代
単位
運転時締め代δ(T)
mm
面圧p
MPa
スリップトルクT · 限界トルク
N·m
参考:円周方向応力σθ · 穴内径面
MPa
判定用:強度チェック値 穴側
MPa
判定用:強度チェック値 軸側軸外径面
MPa
組立補助:焼きばめ / 冷やしばめ

室温20℃を基準に、最大締め代を解消するための部品温度目安を表示しています。
実作業では、温度ばらつき・挿入時間・芯ずれ・面取り・潤滑条件を考慮して、必要に応じて余裕を見込んでください。
いずれか一方の方法で実施してください。

方法
必要組立温度
穴側を加熱 温風炉・誘導加熱等
軸側を冷却 液体窒素 / ドライアイス
▶ 作業余裕を見込む場合の考え方

上記の「必要組立温度」は最大締め代ちょうどを解消する温度です。実作業では組立すきま C を追加で見込むことを推奨します。

ΔT = (δ_max + C) / (d × α) C は設計者が任意に設定してください。 参考値:C = max(0.01 mm, d/1000)

※ この C はメイン計算には自動加算していません。C の適正値は面粗さ・面取り・潤滑・挿入速度・芯ずれ・材質・現場設備によって変わるため、設計者が判断してください。

※ 実作業では、面取り・芯出し・潤滑・挿入速度・表面処理・材料温度のばらつきも確認してください。

モーター注意: 磁石(NdFeB: 80〜150℃で減磁)・接着剤・絶縁材・焼戻し温度の許容温度を超えないこと。

1. 締め代 δ(公差から導出)

軸外径と穴内径の差。公差の組合せで最大・最小が決まります。

δ_max = (d + 上限_軸) − (d + 下限_穴) δ_min = (d + 下限_軸) − (d + 上限_穴)

2. はめあい面圧 p

「軸は圧縮されて縮み、穴は引き伸ばされて広がる。その変形量の合計が締め代に等しい」という条件から、接触面に働く圧力を求めます。(弾性変形の範囲内を前提とした計算です。)

p = δ / [ d · ( C_s/E_s + C_h/E_h ) ] C_s = (1+q_s²)/(1−q_s²) − ν_s q_s = d₁/d C_h = (1+q_h²)/(1−q_h²) + ν_h q_h = d/d₂

中実軸 → q_s=0 → C_s = 1 − ν_s
無限母材 → q_h→0 → C_h = 1 + ν_h

3. 圧入荷重 F

面圧 × 接触面積 × 摩擦係数。

F = μ · p · π · d · L

4. スリップトルク T

すべりが発生する直前の最大トルク。

T = μ · p · π · d² · L / 2 = F · d/2

5. 強度チェック値(応力評価の主判定)

圧入部では「穴が広がる応力」と「押し付けられる応力」が同時に発生します。本ツールでは、それらをまとめた強度チェック値で判定しています。

▶ 計算式の詳細を見る

強度チェック値は、以下の一般式で算出します。

強度チェック値 = √(σθ² − σθ × σr + σr²) σθ:穴が広がろうとする方向の応力(円周方向応力) σr:接触面で押される圧縮応力(径方向応力) p :圧入面圧 圧入面では σr = −p です。

この強度チェック値は、一般にはミーゼス相当応力(von Mises stress)と呼ばれます。引張応力 σθ 単独での評価は2軸応力状態を過小評価するため、本ツールでは強度チェック値を主判定に使用しています。σθ は従来比較用の参考値として併記しています。

穴側・軸側それぞれの σθ 計算式:

穴 内径面: σθ_h = p · (d₂² + d²)/(d₂² − d²) 無限母材 → σθ_h = p 軸 外径面(中実): σθ_s = −p 軸 外径面(中空): σθ_s = −p · (d² + d₁²)/(d² − d₁²) ※ 穴側・軸側ともに一般式に符号を含めて代入してください。 穴側用に展開した簡易式を軸側に流用しないでください。

5b. 統計的締め代 (RSS)・参考値

各寸法公差範囲を±3σ相当と仮定したときの、量産ばらつきにおける締め代の99.7%範囲を二乗和平方根法で推定します。

shaft_mid = (es + ei) / 2 (軸の中心からのズレ) hole_mid = (ES + EI) / 2 (穴の中心からのズレ) delta_mid = shaft_mid − hole_mid σ_shaft = (es − ei) / 6 (公差範囲を±3σ相当と仮定) σ_hole = (ES − EI) / 6 σ_delta = √(σ_shaft² + σ_hole²) δ_RSS_min(-3σ) = delta_mid − 3σ_delta δ_RSS_max(+3σ) = delta_mid + 3σ_delta

※ JIS/ISOの公差域は工程分布の±3σを保証するものではありません。実測工程能力 Cp/Cpk が無い場合、これは設計保証値ではなく参考値です。最終判断はワーストケース締め代を優先してください。

6. 温度による締め代変化

線膨張係数が異なる場合、温度で締め代がシフトします。

δ(T) = δ₀ + d · (α_s − α_h) · (T − 20)

α_s > α_h:加熱で締まりが増す
α_s < α_h:加熱で緩む(例:鋼軸+アルミ穴で温度上昇)

7. 焼きばめ / 冷やしばめ 必要組立温度

最大締め代を解消するための温度差から、必要組立温度を算出します。

必要温度差: ΔT_basic = δ_max / (d × α) 必要組立温度 (室温20℃基準): 穴側加熱温度 = 20℃ + ΔT_basic [α = α_h] 軸側冷却温度 = 20℃ − ΔT_basic [α = α_s] 作業余裕を見込む場合: ΔT = (δ_max + C) / (d × α) C は設計者が任意に設定。参考値: C = max(0.01 mm, d/1000) ※ C はメイン計算には自動加算していません。

※ 実作業では、面取り・芯出し・潤滑・挿入速度・表面処理・材料温度のばらつきも確認してください。

モーター用途では磁石(NdFeB: 80〜150℃で減磁、フェライト: 200℃前後)、接着剤、絶縁材、表面処理、焼戻し温度への影響を別途確認してください。

8. 回転による締め代の減少

回転すると遠心力で部品が外側に広がります。外側の穴(ロータ)は内径が拡がり、内側の軸も外径が膨らみます。穴の拡大量が軸の膨張量より大きいため、嵌合面のすきまが増え、締め代が減ります。

角速度: ω = 2π·N/60 [rad/s] 穴(ロータ)の内径が拡がる量(直径換算): Δd_h = (ρ_h·ω²·d)/(2·E_h) · [(1−ν_h)·(d/2)² + (3+ν_h)·(d₂/2)²] 軸の外径が膨らむ量(直径換算、中実→d₁=0): Δd_s = (ρ_s·ω²·d)/(2·E_s) · [(3+ν_s)·(d₁/2)² + (1−ν_s)·(d/2)²] 遠心力による締め代の減少量: Δδ_c = Δd_h − Δd_s 回転中の実効締め代 : δ_eff = δ(運転温度) − Δδ_c

計算の根拠:円筒の外面と内面に圧力がかかっていない状態での円周方向応力を求め、そこから径方向の変位を計算しています(弾性変形理論)。

9. 臨界回転数 N_crit と推奨上限 N_safe

遠心締め代減少 Δδ_c は ω² に比例するため、最小締め代が完全に消える臨界回転数を逆算できます。

Δδ_c = K · ω² (K は寸法・材料で決まる定数) 締め代消失条件: δ_min(運転温) = K · ω_crit² ∴ ω_crit = √(δ_min / K) N_crit = 60·ω_crit / (2π) N_safe = 0.6 × N_crit ※FEM未検証時の暫定上限

N_crit は「圧入面が物理的に分離する回転数」であり、運用ではこの値の60%以下に留めるのが安全側。実機検証済の機種では70〜80%まで使える場合あり。

記号定義: d = 呼び径、d₁ = 軸内径、d₂ = 穴外径、E = 縦弾性係数、ν = ポアソン比、α = 線膨張係数、L = 嵌合長、μ = 摩擦係数、p = はめあい面圧、δ = 締め代。添字 s = 軸(shaft)、h = 穴(hub)。

ご意見・ご質問をお寄せください

本ツールはβ版として公開しています。 使いにくかった点、追加してほしい機能、計算条件に関するご質問などがありましたら、お気軽にお知らせください。

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